ハリネズミのやさしさ

読み切り短編小説 大事な心を書き留めます。

無愛想くんは無愛想じゃない

素直になれない無愛想くん。

 

ありがとう すら言えなくて

近づいてくるやつは、いやしない。

 

ただ気恥ずかしいだけなのに。

それに気づいてくれる人は誰もいない。

 

道を歩いていると

花を咥えた猫が無愛想くんの前に表れた。

 

思わず立ち止まった無愛想くんの足元に

その花をそっと置いて座った猫。

無愛想くんに花をプレゼントしているようだ。

 

無愛想くんはしゃがんで、花を手に取った。

「ありがとう」

すんなりと言えた。

 

無愛想くんが、本当は無愛想じゃないことは

この猫だけが知っている。